君ノ想イ・私ノ祈リ |
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草原に寝そべって空を見上げた。そよ風が目の前を通り過ぎていく。 少女は手を伸ばした。高く、空へ届くように祈りを込めて。 リンと音を立てて手首にまかれた鈴が揺れる。 風に翻弄されて快い音色を奏でていた。 少女は願う。 私はココに居ると。 見つけて欲しいと。 あらんばかりに声を張り上げたら気付いてくれますか? 私がココに居ると。 少女は祈る。 風に鈴の音色を乗せて。 「っ!」 と呼ばれた少女は気だるそうに目だけで声の主を見た。 「サクラ…。」 サクラと呼ばれたピンク色の髪の少女は、未だに寝そべったままのを起こすべく腕を引く。 しかし、一向に起きる気配はなく、ただ、鈴だけが嘲笑うかのように音を立てていた。 とうとうサクラは諦めたらしく、の横に腰を降ろした。 「ー探したんだよ!もーなんでいつも気が付けば…。」 「ゴメン、ゴメン。」 ぶつぶつと文句を言うサクラの頭を軽く叩き、飛んだ。 「…っ!」 一歩遅れてサクラもそこを飛退く。 少し前まで二人が居た場所には複数の手裏剣が刺さっていた。 そして、煙幕が視界を奪う。 これを好機とばかりに数人の影がとサクラを襲う! 鈍い音を立てて二人だったモノが地面に落ちる。 次第に煙幕が晴れていく。 「ゴメンってばよサクラちゃん…。でも、仕方ないっでばよー。」 独特な語尾の少年が縄を持ち、サクラに近づいた。 「ナルトー、一応気をつけろよー。たぶん、大丈夫だろうけどさー。」 子犬を連れた少年、が縄を持ち、に近づく。 ゆらりと怪しく動く人影には誰も気付かなかった。 煙幕は未だ視界を奪う。 「甘い!!」 それは突然のことだった。 「!!」 視界がクリアになった時には既に、自分たちが持っていた縄によって縛められている少年たちの姿があった。 その傍には木の幹が2つあった。 おそらく、とサクラだったもの。 「ナルト!キバ!」 少し離れた場所から様子を窺っていた仲間の少年が姿を現す。 ナルトと呼ばれた独特な語尾の少年はよほど強く攻撃をされたのか、気を失っていた。 子犬と共に縛られたキバという少年は悔しそうな顔をし、なんとか縄を解こうとしていた。 「だから、甘いんだよ。」 声の主は音もなくサングラスをかけた少年の後ろに居た。 慌てて振り向くが、による鳩尾への一撃によって崩れていった。 「シノはちょっと抜けてるよ…?」 哀れみの言葉というよりは追い討ちを倒れているシノへ送る。 リンと鈴の音だけが世界を支配していた。 「お疲れ様ー。今回はナルトとキバ、シノだけ?」 乱れた髪を直しながらサクラが近づいてきた。 「ううん…。」 「え?」 サクラがの肩に触れた瞬間、サクラはかなりの後方に飛ばされていた。 さらに追い討ちをかけ、最後にナルトたちを縛ったとの同様、縄で拘束。 否、サクラだったモノに。 「あと、一人。そう、サスケがいるよ。」 ポンっと音共に現れたのはサクラでもなく、の言った通りサスケだった。 サスケはかなり不服な顔で地面と睨み合う。 「ってことは、サクラは捕まったんだな。」 地面と睨み合うサスケを尻目に現状況を推測する。 それより気になるのは、どうしてこんな事になっているのか。 話の発端は簡単な事だった。 一言で言えば"供たちの向上"である。 男子と女子に別れて今日一日だけのサバイバルゲーム。 ルールは簡単。 どちらか最後まで残ったほうが勝ち。 殺さない限り何でもありのゲームなのである。 ちなみに商品は「有給」である。 「有給」がかかれば皆の目の色は変わり、生死ギリギリ恐怖のサバイバルゲームとなったのである。 はそれが面倒で、お気に入りのこの草原で寝ていたのである。 そのを探しにサクラが来たが、ナルトたちの奇襲にあった。 おそらくサクラは、ナルトの攻撃から逃げた先でサスケを見つけ、見とれているうちに捕まったのであろう。 「さて、とりあえず、情報収集だなー。」 サクラが捕まった今、状況を知るすべがない。 ちゃんとしたゲームなため、監視員はいる。 そのため、アカデミーには現状況が解る様になっている。 が、そこに行くという事は、自ら捕まりに行くのと同じである。 運がよければ仲間が張っているが、悪ければ敵が張っている。 二分の一の確立なのだ。 少ない確立にかけるよりは、自分で情報を集めた方が無難。 そう判断したはその場を後にした。 捕獲とうシールをナルトたちに貼って。 行くあてがまったくないというわけではない。 有給という言葉に血眼になっている少女たちは当然、作戦を立てた。 そして、情報収集しやすいように落ちあう場所も決めてある。 とりあえずそこに向かうことにしたのだ。 鈴の音が鳴る。 風に乗り天高く舞い上がる。 木の葉に乗り地へと堕ちる。 風が鳴る。 それによって鈴の音は消えてゆく。 まるで、自分をかき消すかのように。 目的地には別の人が居た。 奈良シカマル。 幼馴染で実は好きな人。 そんなヤツが何故かココに居る。 何故か? そんなの簡単なことだ。ココは彼のお気に入りの場所なのだ。 そうとは知らないチームメンバーはココを選んだ。 確かにココは普通なら気付かれない場所だ。 だからこそ、シカマルのお気に入りの場所なのだが。 ゆっくりと昼寝するのに丁度イイらしい。 そして、現に今も寝ている。 まるで別世界に居るような静けさだった。 シカマルが浮世だって見えた。 ゲーム中に寝ているせいなのか。はたまたシカマルだからなのか。 周りの気配を窺う。どうやら、監視委員はいないようだ。 音を立てないように近づく。 鈴の音すらも。 「シカマル…。」 閉じられた瞼を確認する。 目を開けて欲しい。そして、自分を見つけて笑いかけて欲しい。 目を閉じてて欲しい。もう少しの間見ていたい。 その唇で名前を紡いで欲しい。目を細めて笑いながら呼ぶ彼。 自分の名前なのに自分のモノではないように錯覚してしまう。 「寝てるの…?」 解っていて確認する。だって、起きていたら嫌じゃないか。 恥ずかしくて死んでしまう。 「好きだよ、シカマル。」 消えゆくような声で呟いた。 恥ずかしくて視線をずらし、木の葉と共に舞っていく花を目で追う。 「オレもだよ。」 確かに声が聞こえた。 驚いて視線を戻すと、開かれた瞳がを捕らえる。 顔が以上に近い。 気付いてしまえば、恥ずかしいもので、脱兎の勢いでその場を逃げる。 が、シカマルの方が一枚上手で腰を捕まれたしまった。 「セーフ。逃げるなって、オイ。」 ジタバタと身動ぎ逃げようとするを取り押さえるべく格闘するシカマル。 いくら逃げようとしてもやはり相手は男なので、結局負けてしまう。 それが悔しくて、ココに居るのが恥ずかしくて、逃げたくて逃げたくて仕方がなかった。 「何で逃げようとするんだよ…。」 明らかに面倒がっている声だった。 「逃げたいから。シカマルが敵だし嫌いだから。」 「好きだって言ったのにか?」 いつの間にか木の幹に追い込まれ、逃げ道がなくなっていた。 ピンチっ! ここは忍者として道具でも使って逃げようか! などと考えていれば、頬を抓まれた。 「見つけてくれって言ってるくせに…。」 「え…。」 思ったことはあっても、口にしたことはなかった。なのに、指摘されたのだ。 「伊達にお前のこと見てねぇんだよ。」 照れくさそうに目を逸らして言うシカマルが愛しかった。 「シカマル…。」 そよ風が頬を撫でていく。 「あー…だから…。」 ポリポリと頬をかく。少し頬が赤かった。 そして、目が眩むほど真剣な顔だった。 「好きなんだって。」 少し、かさついた唇が自分のそれと重なる。 そして、離れていった。 この時間が永遠に続けばイイのにと思ってしまう。 でも、恥ずかしいから絶対に言ってやらないのだ。 代わりに… 「シカマル確保っと。」 確保シールでも張っておこう。 「なっ!ズルイだろっ!」 おでこに捕獲シール。 貴方との時間が永遠に続きますようにと祈りを込めて。 ![]() 遅くなってしまいましたが、真さん、サイト開設おめでとうございます。 なんだかよくわからない話になってしまい申し訳ありません;; 何せ、NARUTO初書き、シカマル初書きなのもで右も左も解らない状態でした。 しかも、話の最初にはシカマルが出てこないという最悪の事態発生。 一応、まだシカマルは上忍ではないと思います。えぇ、たぶん。 サスケいますしね。ホントはネジとかも出す予定だったんですが…出せませんでした。 面白かったら笑ってください。つまらなかったら笑ってください。 これらも微々たる物ですが精進できるように勤めていきます。 05.11/05 約2年も前の作品ですね。 読み直すと変な文章ばっかりで……。 UPするのも躊躇ったのですが…思い出深い作品ですし。 てか、あんまり精進してないですね;; by aya kisaragi |