意地悪

今、俺の彼氏は機嫌が悪い。
てか、彼氏とかいう時点で色々問題があると思うのだが…。
俺たちは男同士で、しかも、主従関係ときている。
そんでもって、恋人同士なのだ。
「なぁ、コンラッド…。」
「何ですか、陛下?」
さっきから、これの繰り返しなんだ…。
彼は普段は"陛下"なんて呼ばない。とくに二人っきりのときは。
なのに…意地悪で呼んでいる。俺がそう、呼ばれるのが嫌いなのに…。
だから、彼は機嫌が悪いのだ。
機嫌が悪い理由は、ただ、一つ。
俺がお見合いをしたから。
別に好きでしたわけじゃない。成り行きでこうなってしまったのだ…。
お相手の女性はヴォルフラムに片思いしてた。
で、ごたごたが色々起きて…結局俺が魔王モードになって一件落着。
ごたごたしたのもコンラッドのせい。
こうなると全てが嫌になる。
俺ばっかり…。
「コンラッド…。悪かったって…。」
泣きたくなってくる。不可抗力でこんな状態になって。
なのにコンラッドは俺に冷たい。意地悪でしてるのは解ってる。
でも、俺の全てを否定されたみたいで、哀しくなる。
コンラッドはさっきからずっと剣を磨いてる。
同じ空間にいて、同じ時間を共有しているはずなのに、コンラッドが遠く感じる。
「もう…イイよ…。」
今日はもう寝よう。明日になったらコンラッドの機嫌が直ってるかも知れない。
もし、明日直ってなかったら?
このままずっと続いたら?
「コンラッド…。」
「…ユーリ?」
コンラッドが頬を撫でる。俺よりも大きく、優しい手。
「何で泣いているんです?」
意地悪のつもりでしていたのに、俺が泣いてしまったからコンラッドが焦っていた。
なんだかそれが滑稽で、コンラッドらしくなかった。
拭いても拭いても止まらない俺の涙がコンラッドを困らしている。
それが凄く嬉しかった。
「コンラッドが悪い…。」
鼻声混じりの声で悪態をつく。
コンラッドが苦笑していた。
「すみません、ユーリ。」
優しく瞼にキスをして、許しを請うその姿がやけに色っぽかった。
恭しい動きが愛しく感じた。
「許してほしかったら、もっと…しろ…。」
俺の命令は絶対。
コンラッドを縛って離さない。
「えぇ…。」
沢山のキスが降ってくる。優しく俺を慰めるように。
離してなんかやらない。そのためなら、何だってしてやる。
「んっ…。」
ちりっとした痛みが走った。
「可愛い…。」
どうやら調子に乗ってキスマークなんか付けたらしい…。
「見える位置に付けるなって!!」
「いいじゃないですか。ユーリがオレのモノっていう証拠ですよ。」
さっきまで、子犬みたいだったのに、気付けば、獅子に進化してる…。
「ダメダメ!!!」
暴れてみるけど、コンラッドにはかなわなくて…でも、それでもいいかなって流されている俺がいる。
こーして世界はゆっくり廻って俺たちに愛を授けていく。
だから、やめられない。
もしかしたら、縛られているのは俺の方なのかもしれない。
それでもいいやって思えるのは、相手がコンラッドだからなのかもしれない。
「ユーリ……。」
…でも、そろそろ、止めないと明日の俺に支障が出るかも…。
哀れ、俺。
俺の明日は右か左か…全ては目の前の野獣にかかっているのが微妙な所。





初コンユでした。
なんだかお粗末なものですが…;;
結局なにがしたかったんだ?みたいな感じになってしまいました。
たぶん、コンラッド視点も書く予定です。
これの元になったオフ小説では書いているので。
どうでもいいですが、この話のネタとなったのは、マニメです。
何話だか忘れましたが、あれは強烈でした。
何せ、コンラッドが腹黒でしたからね!(そこかよ)
この話はその後みたいな感じです。
なんだか、言い訳チックですが、読んでくださりありがとうございました。

                     by aya kisaragi