始まりの出会い

最近よく見る夢がある。
たぶん、それは、遠い昔。
私がまだまだ幼く、目に見える世界が全てで、何もかもが早く過ぎていくような錯覚を起こす。
でも、それは寂しいことじゃなくて、シアワセだった。
それが、私のシアワセの形だった。
片手ずつに両親と繋ぐ手。目の前には優しそうな……。

ネェ、私ノ"シアワセ"ハ何処?

小さな瞳が私を責める。

ネェ、オ母サンハ?オ父サンハ?
コ……ッ‥ハ?

大きな力で押さえつけられるような威圧感。

返シテ…私ハ悪クナイ…。

すすり泣く幼い少女。
泣かないで。私まで悲しくなる。

ゴメンナサイ…。

謝らないで。貴方のせいじゃない。
悪いのは…

悪イノハ…



夢見は最悪。気分不良。
外は正反対で快晴。皮肉だわ。
どうしろっていうのよ、こんな日に。
とりあえず、換気だ換気。部屋の空気が悪すぎる。
「おー気持ちっ!」
清々しい風が頬を撫でていく。ダルイ体に叱咤をするように。
空は青い蒼いアオイ。
四角い空。
まずは飯にでもしますかっ!腹が減っては戦は出来ぬだし!
…戦なんてしないけど。
「さーて今日のご飯は……やっぱ、外食かなー♪」
身支度終えていざ出発っ!
「…むむむ…。」
今日って風圧強かったっけ??ドアがなかなか開かないんですけど…。
何か?うちに服脱げってか?寒かったら服脱がねぇよ!!馬鹿、北風めっ!
「うぉぉぉー!!!!って…えぇぇぇ!!!???」
全身全霊でドアを開けたらなんか吸い込まれましたよ!?
この感じ…なんか…覚えがある……。
あれだ!!!
「スペースマウンテンってヤツでしょぉぉぉぉぉーーー!!!」
叫びは空しく木霊した。

吸い込まれて着いたのは、これまた農村っぽい所。
えぇ、何もないですよ、はい。
人っ子、一人いないし…。どーするオレ!!
マジでどうしたらイイんですか?
てか、このままだと今日の夕刊に

「摩訶不思議!自宅の玄関にて少女失踪!」

なんて報道されちゃうよぉ!!それは勘弁だよぉ!!
とりあえず人を探そう!ウォーキングしてれば誰かに会える!!
腹ごなしだと思ってさ!頑張ろうよ自分!!
「@□△☆!!」
って思ってたらベッピンさんがこっち向いて何か騒いでるよ!!
てか、人発見!!なんか、コスプレっぽいけどこの際気にしてられない!
「あのー…」
お姉さんは激しく混乱中らしい。話ができない…。
もしかして、そんな姿見られてテンパってるんですか??
「あの、それなら、私、全然気にしない!!!」
とかなんとか言ってるうちに何かマッチョな人出て来たー!!
恐い!恐いよ!!とにかく逃走ねっ!トンズラよ!!
「しっ失礼しましたぁぁぁぁぁぁーーー!!!」
全力疾走で森に向かう。でも、マッチョは追っかけてくる。
必死で足動かす。でも、マッチョがドンドン近づいて来る。
奇声をあげて威嚇してみる。でも、マッチョがそれを超えるような更なる奇声をあげてくる。
日本語で「馬鹿」を連呼してみる。逆効果でなんだかマッチョが怒ってる(馬鹿にされているのは言葉が通じなくても理解できるんだ!)
なんだか、マッチョとの距離が近くなってきた。でも、マッチョは未だ走ってくる。
よく見れば、マッチョがマッチョの後ろにいて、更にその後ろにマッチョがいる。
こっ…恐い!!!
誰でもイイからこの、マッチョ地獄から助けてっ!!
「Help Me!!!!!」
なんとなく英語で叫んでみた。マッチョだから通じるかな?とか思って。
でも、祈りはマッチョには通じなかった。
っ!手をっ!!」
逆光で顔がよく分からないけど、とにかくマッチョじゃなさそうな青年が手を差し伸べてきた。
これは、乗るっきゃないでしょ!
手を握り、思いっきり引かれる。
腕は痛かったけど、マッチョの餌食になるよりはましだった。
無我夢中でその青年に引っ付いて馬に乗った。
尻は痛い。なんたって、乗馬なんてもの数えるくらいしかしたことないし。
でも、でも、恐くてそれどころじゃなかった。
それから先のことはよく、覚えていない…。

私ノ名ヲ呼ブノハ誰?






最後までお付き合いくださりありがとうございました。
初期に考えていたモノとはまたも変わってしまいましたが、初のマ王です。
オフ・オンともに初なのでお恥ずかしいばかりです。
書き出しは暗いですね。この話はこれから先ドンドン掘り下げていくつもりです。
そして、マッチョ。
もしかしたら、今回の主役はマッチョかもしれない(笑)
暗い分だけ明るい分を入れたかったんですけどね。なんか…ね…。
次回はもっと精進できるよう頑張ります。
楽しかったら笑ってください。
つまらなかったら笑ってください。
                     by aya kisaragi