色付きだした果実 |
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朝から城内はとても騒がしく、忙しそうだった。 今日はどっかの国の使者が来るらしい。 はっきり言って私には関係ないこと。使者が会うのも魔王のユーリ。 しかも、この時ばかりはコンラッドもユーリの護衛に戻ってしまう。 いつも嫌だと言っても離れてくれないのに…。 つまり私の相手をしてくれる人がいない。暇人なのだ。 だからといって、城内探検もできない。 今日は一人で缶詰。 「暇だー。」 ベッドに寝転んだまま呟く。 一人では大きすぎるベットは寝返りを打ってもベットの端には辿り着かなかった。 虚しさが一気に込み上げてくる。 「退屈ですか…?」 その声に慌てて体を起こし、見るとコンラッドがドアに凭れながら立っていた。 冗談抜きでカッコイイ。 「何でココに…。」 ユーリの傍に居るはずの人間が部屋に居る事に同様する。 その反面、とても嬉しくて仕方がない。 絶対に口にはしないけれど。 「が気になってね。ギュンターに任せて来ちゃいました。」 来ちゃいましたじゃないだろうと思いつつ顔が緩んでしまう。 ベッドの上で呆然としている私に近付いて来た。 髪を一房掴みキスを落とされる。 「そんなの、サボリの口実じゃん。」 「違いますよ。」 抱き締められると接した部分からコンラッドの体温が流れ込んでくる。 自然と腕を首に回してしまった。 少し体を離して唇を奪われると、全てがどうでもよくなってしまった。 今まで退屈だった事とか自分だけ除け者だった事とか。 服の裾を掴むと、それを合図に唇を開放された。 肺一杯に空気を取り込む。 危うく咽そうになるまで酸素を取り入れると深く深呼吸を一回した。 それでも心臓の音は大きく響く。 「。」 髪を梳くコンラッドを盗み見る。 心地良さそうに目を細めている彼。そんな些細な事に胸が高鳴った。 自分らしくないと解かっていながらも気持ちをコントロールできない。 たぶんコレが世の中でいう『恋をする』という事なのだろう。 初めて感じた。 いや、もっと前から感じていた。彼と出会ったときから。 「さて、そろそろ行かないと。」 名残惜しそうに私から離れると苦笑した。 無意識に彼の服を掴んでしまう。 一瞬何が起きたのか解からなかった。とにかく掴んで少ししてから自分がした行動に後悔した。 苦笑していたコンラッドは困った顔をしている。 困らせるつもりなんてなかったのに。 「ごめん。」 照れ隠しではなく彼を困らせてしまった事から視線は足元にいく。 そんな私の頭を優しく撫でてくれた。 「が懐いてくれて嬉しいですよ。仕事が終わったらすぐに来ますから。 それまでイイ子にココで待っててください。約束が守れてたらお土産も持ってきますから。」 ポンポンと軽く頭を叩くので顔を上げると軽く唇にキスをされた。 突然の出来事に固まっていると喉で笑われる。 この状況が居た堪れなくて話を変えた。 「お土産って何さ?」 頬が朱色に染まっているのが自分でも解かる。半分睨みながら見上げた。 その様子を見て笑いを堪えて頬を撫でるコンラッド。 気遣ってるのか、からかっているのか、いまいち解からないがとても楽しそうだった。 そんな彼を見ているだけで幸せになってしまう私はかなりヤバイかもしれない。 「今日、グウェンが来ているんですよ。」 その言葉だけでコンラッドが何を言いたいのかが解かる。 意思疎通とかじゃなくて、単にグウェンといえばみたいな図式が出来上がっているからである。 「じゃぁ、ココで大人しく待ってる。」 満面の笑みを浮かべて答えると、安心した顔をした。 きっと私を一人にしてしまう事に不安を感じていたんだろう。 「では、行って来ます。」 「行ってらっしゃい。」 頬にキスをされたので一応お返しにと頬にする。 新婚夫婦かよってユーリからツッコミが入りそうな恥ずかしい行動だが、この際気にしない事にした。 アメリカなんか挨拶代わりにハグしてキスだ。それに比べればなんともない。 そうだ。そう思うことにしよう。 コンラッドが部屋から出たと思った瞬間だった。 ぐっと後ろに体重が掛かったと思うと羽が舞うごとく体が浮いた。 否、誰かに持ち上げられたのだ。 「っ!」 驚いて声も出ない私の異変に気付き駆けつけるコンラッド。 その手には剣が握られていた。 見えたのはそこまで。項に手刀を受けて気絶してしまったのだ。 遠くのほうでコンラッドの呼ぶ声が聞こえた気がした。 ![]() のんびり更新ですみません;; ツッコミは無しでお願いします(切実) 色々と問題点はありますが、そこはスルーで! CPばっか書いてるとドリがとても書きにくいです。 文体がかなり変……(凹) by aya kisaragi |